いずれまた

 

「先輩には、俺だけを見ててほしい。」
こう言って、蓮の顔が限界まで近づく。
「っま、ちょ、心の準備がまだ…」
もう逃げさせません。指先まで届いたオタカラを絶対に放さないのは怪盗だから。
先輩に拒否権なんでないこと、最初から知っているでしょ?
魔性の塊がそっと耳先で呟く。もう逃げられないことを知って、悠はゆっくりと目を閉じた。